株式会社などの法人登記を自分で進めるとどれくらいの費用がかかるのでしょうか?専門家に依頼せずに法人登記を行う場合の費用の内訳や、定款作成から登記申請までの具体的な流れ・必要書類を解説します。自分で法人登記を行う際に知っておきたい注意点や必要な期間、登記後の各種届出も押さえて、費用面の不安を解消し、スムーズな会社設立を実現しましょう。
法人登記を自分で行うのは可能?
会社設立の手続きは、専門家に依頼しなくても自分で行うことが可能です。実際、株式会社の設立登記は発起人自らが行うのが原則であり、必要な書類を揃えれば誰でも申請自体はできます。しかし「何から手を付ければいいのかわからない」「ミスなく手続きを完了できるか不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。まずは自分で法人登記を行うメリットとデメリットを押さえておきましょう。
自分で法人登記するメリット
自分で法人登記を行う最大のメリットは、専門家へ依頼する費用を節約できることです。司法書士や行政書士への依頼料(一般的に数万円〜十数万円程度)がかからない分、創業資金を本業に回せます。また、自分で手続きを進めることで会社設立の知識や経験を得られる利点もあります。
自分で法人登記するデメリット・注意点
一方、自分で登記手続きを行う場合にはデメリットや注意すべき点もあります。まず、手続きには法律知識や専門用語の理解が必要で、初心者には難易度が高いことが挙げられます。書類の書き方一つとっても調べることが多く、慣れない作業に時間と労力を要するでしょう。準備に時間を取られすぎると、本来注力すべき開業準備や本業に支障が出る恐れもあります。また、書類の不備やミスがあると手続きがやり直しになり、結果的に設立までの期間が延びてしまいます。とくに定款(ていかん)の作成や法務局への登記申請は専門性が高く、間違いがあると受理されないため注意が必要です。
法人登記にかかる費用の内訳
では、法人登記をする際に具体的にどのような費用がかかるのでしょうか。株式会社を設立する場合を例に、主要な費用の内訳を確認します(※金額は概算です)。
定款の認証手数料
株式会社の場合、公証役場で定款認証を受ける際に約1.5〜5万円の手数料がかかります(資本金額で変動します)。資本金が小さい会社では1.5万円(資本金額のほか適用条件があります)、一定以上は5万円と段階的に定められています。
定款の収入印紙代
紙の定款を作成する場合に4万円(印紙税)が必要です。電子定款を利用すればこの印紙代4万円は不要になります。
登録免許税
設立登記の際に法務局に納める税金です。株式会社では「資本金額×0.7%」で計算し、算出額が15万円未満なら15万円が最低額となります(合同会社は最低6万円)。
会社実印の作成費
会社の実印となる代表者印の作成費用で、材質やサイズによりますが数千円〜1万円程度が目安です。銀行印や角印など他の法人印鑑も合わせて作成するとその分費用がかかりますが、今後のことを考えると作成しておくことが望ましいでしょう。
その他の費用
定款の謄本交付費用(公証役場で定款のコピーをもらう費用、数千円)や、登記完了後に交付を受ける登記事項証明書(1通あたり約600円)の発行費用、発起人個人の印鑑証明書取得費用(1通数百円)などが発生します。
以上が法人登記に必要な主な費用です。自分で手続きを行う場合は、これらの合計額がおおよそ自己負担するコストになります。株式会社の場合、電子定款を活用すればトータルで約20万円前後、紙の定款だと約24万円前後が目安となります。一方、合同会社は定款認証が不要で登録免許税も安いため、約6〜10万円程度に抑えられます。なお、自治体の創業支援制度を利用して「特定創業支援等事業による支援を受けた証明書」を取得すると、登録免許税が半額の7万5,000円に軽減される特例があります。起業前に市区町村や商工会議所などが開催する創業セミナーを受講することで証明書を発行してもらえるため、活用できれば大きな費用節約となります。
法人登記の手続きの流れ(自分で行う場合)
費用の次は、実際の手続きの流れを把握しましょう。ここでは一般的な株式会社設立の手順を解説します。
STEP1:会社の基本事項を決める
会社設立にあたって最初に行うのは、会社の基本事項を決定することです。具体的には、商号(会社名)、本店所在地、事業目的、資本金、発起人・役員構成、決算期(事業年度)などを決めておきます。以上の基本事項を明確にした上で、次のステップに進みます。
なお、商号が決まったら会社実印を作成し、登記に備えて法務局へ提出する印鑑届出の準備も必要になります。登記申請時に会社実印を使用するほか、設立後も銀行口座開設や契約書への押印など実印を使う場面は多いため、銀行印や角印も併せて作成しておくと便利です。
STEP2:定款を作成し、公証人の認証を受ける
会社の基本事項を定めた定款(会社の憲法にあたる書類)を作成したら、公証人役場で定款認証を受けます(株式会社では必須の手続きです)。認証手続きでは定款と発起人全員の印鑑登録証明書などを提出し、公証人手数料約5万円に加え、紙の定款なら収入印紙代4万円が必要です(電子定款なら印紙代は不要)。公証人による認証が完了すると、認証済みの定款謄本が交付されます。
STEP3:資本金の払い込みを行う
定款の作成後、発起人は決めた資本金額を自分の銀行口座に振り込みます。会社名義の口座は設立後でないと開設できないため、いったん発起人個人の口座で資本金を受け入れます。その口座の通帳コピーなどから払込証明書を作成し、登記申請時に提出します。
STEP4:必要書類を準備し法務局で登記申請する
必要な書類をすべて揃えたら、会社の本店所在地を管轄する法務局へ設立登記を申請します。登記申請日がそのまま会社の設立日となり、審査が無事完了すれば約1週間で登記が完了します。登記完了後には「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)」などの書類を取得でき、晴れて会社が成立します。
法人登記後に必要な手続き(税務・社会保険など)
法人登記が完了した後には、税務署や自治体への各種届出や、社会保険・労働保険の加入手続きなども必要です。例えば税務署には法人設立届出書や青色申告承認申請書を、都道府県税事務所や市区町村役場には法人設立届を提出します。また、役員や従業員を雇用する場合は年金事務所で健康保険・厚生年金の加入手続きを行い、労働基準監督署で労災保険、ハローワークで雇用保険の加入手続きも済ませましょう。これらの届出には期限があるため、忘れずに対応することが大切です。
専門家に依頼するメリットと司法書士法人ふらっとの強み
自分での手続きに不安がある場合は、会社設立のプロである司法書士に依頼するという選択肢があります。司法書士に依頼すれば、定款の作成から登記申請まですべての手続きを代行してもらえるため、手続きミスの防止や時間の節約につながります。もちろん専門家への報酬は発生しますが、その相場は約10万円前後とされています。費用負担は増えるものの、安心感や効率化のメリットを考えれば、初めて会社を設立する方にとって検討する価値は十分あるでしょう。
司法書士法人ふらっとは、千葉県内最大級の司法書士事務所です。四街道市・成田市・柏市に拠点を構え、地域に根ざしたサービスを提供しています。これまでに多数の株式会社や合同会社、士業法人の設立支援実績があり、経験豊富な司法書士が複数在籍しております。電子定款の作成代理から各種書類作成・申請までワンストップでサポート可能です。会社設立に関する無料相談も随時受付けていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。経験豊富な司法書士があなたの不安に寄り添い、最善の方法をご提案いたします。